網膜や硝子体の疾患に対する外科的な手術になります。
濁った硝子体や眼内出血、網膜にできた余分な膜などの除去、網膜に空いた裂孔の修復などが行われます。眼科領域で最も高度な手術の一つです。
当院では25Gでの低侵襲性硝子体手術(MIVS Minimally Invasive Vitrectomy Surgery)を行っております。25Gというのは、手術を行う際に眼球に開ける穴(ポート)の大きさを表しています。傷口が非常に小さい(25G=約0.5mm)ため、基本的には縫合する必要がありません。そのため短時間での手術が可能となり、眼への負担や炎症も以前とは比べ物にならないほどに少なくなりました。
また術後の眼のごろつきも少なく、術後の乱視も減少しました。
手術方法は、局所麻酔で眼球に3か所の穴(ポート)を開けて行います。1つめのポートには灌流ラインを設置。常に眼内に人工の硝子体液が供給され、眼圧を一定に保ちます。2つめのポートからは照明用の器具を挿入し、眼内を明るく照らします。3つめのポートからは硝子体カッターと呼ばれる器具を挿入し、ゼリー状の硝子体や出血を切除、吸引します。
MIVSにより手術時間が短くなったとはいえ、硝子体手術は高度な手術のため眼内への侵襲性も高く、術後に白内障が進行するともいわれています。そのため、白内障の手術がまだの患者さまの場合には同時に白内障手術を行うこともございます。
手術終了時には人工硝子体液を満たして終わりますが、網膜剥離などがある場合は空気あるいは長期滞留ガスを注入することもあります。これらの気体は、眼内で産生される房水によって数日から数週で置き換わります。
ガスを眼内に入れた場合は、手術後の数日はうつ伏せや横向きで寝ていただくようにお願いすることがあります。これは、空気より軽いガスが上方に上がる性質を利用し、網膜を圧迫するためです。術後の体位も治療の1つです。
手術時間は病気の進行具合や患者さまの状態により異なりますが、日帰りで行うことができます。手術後は特に合併症などの危険性があるため、医師の指示に従って検査や点眼などを行うようにしてください。